顧客獲得の仕組み化で活用する『フレームワーク』分析

中小企業にとって事業継続を行う際の生命線である『顧客獲得』を仕組み化するときに、必要不可欠なのが自社を取り巻く環境を事実情報で経営者が理解することです。これが出来ていない方ほとんど「感覚的にわかっている」「情報が古く現在とは違いすぎる」・・・などこれでは事業成長は望めないな…っと思う経営者は、かなりいらっしゃいます。

そこで今回は自社の周辺環境の中でもマクロな環境を分析するPEST分析を解説します。
自社ではコントロールできない外部環境が、どのように顧客の獲得に影響を与えるかも書き添えています。

PESTとは、以下の4つの頭文字を取ったものです。

  • P:Politics(政治的要因)
  • E:Economy(経済的要因)
  • S:Society(社会的要因)
  • T:Technology(技術的要因)

それぞれの要素でどのような情報を分析するのか、顧客獲得プロセスにどう関連するかを説明します。

1. P:Politics(政治的要因)

政府や自治体の政策、法律、規制、政治情勢などが顧客獲得に与える影響を分析します。

  • 分析する情報例:
    • 法改正・規制緩和/強化: 個人情報保護法、景品表示法、特定商取引法など、顧客データの収集・活用やマーケティング活動に影響を与える法律の変更。
    • 税制・補助金: 特定の業界や技術に対する税制優遇、新規事業への補助金、消費者向けの購入支援策など。
    • 政府の政策: 環境政策、労働政策、産業育成政策などが、顧客のニーズや購買行動に影響を与える可能性。
    • 政治的安定性: 国内外の政治情勢の不安定化が、消費者の購買意欲や企業の投資意欲に与える影響。
    • 貿易政策: 関税や貿易協定が、商品やサービスの価格、供給に影響を与える可能性。
  • 顧客獲得プロセスへの関連:
    • 新たな規制によって、商品開発の方向性や目的が変化する可能性と顧客へのアプローチ方法や情報提供の仕方が変わる可能性があります。
    • 補助金や税制優遇によって、特定の製品やサービスの需要が喚起され、新たな顧客層を獲得できる可能性があります。
    • 政治的な安定性が顧客の購買意欲に直結する場合もあります。

2. E:Economy(経済的要因)

経済の動向、消費者の購買力、市場の状況などが顧客獲得に与える影響を分析します。

  • 分析する情報例:
    • 景気動向: GDP成長率、個人消費、設備投資など、全体的な経済状況が消費者の購買意欲に与える影響。
    • 物価・賃金・失業率: インフレ・デフレの状況、平均賃金の上昇・下降、失業率などが、消費者の購買力や節約志向に与える影響。
    • 金利・為替レート: 金利変動がローンや投資に与える影響、為替レート変動が輸入品や輸出競争力に与える影響。
    • 市場規模・成長率: ターゲットとする市場全体の規模や成長性。
    • 所得格差: 所得層ごとの消費行動の変化。
  • 顧客獲得プロセスへの関連:
    • 景気低迷期には、顧客はよりコストパフォーマンスの高い商品やサービスを求める傾向が強まります。
    • 賃金上昇や補助金によって購買力が高まれば、高価格帯の商品やサービスもターゲットになりえます。
    • 経済状況に応じて、商品バリエーションの増減や顧客への価格戦略やプロモーション戦略を調整する必要があります。

3. S:Society(社会的要因)

人口構成、文化、ライフスタイル、価値観、社会トレンドなどが顧客獲得に与える影響を分析します。

  • 分析する情報例:
    • 人口動態: 少子高齢化、単身世帯の増加、地域ごとの人口変動などが、ターゲット顧客層の変化に与える影響。
    • ライフスタイル・価値観: 健康志向、環境意識の高まり、多様性への理解、ワークライフバランス重視など、消費者の行動や購買基準の変化。
    • 社会トレンド・流行: SNSの利用動向、インフルエンサーマーケティングの影響、特定の社会問題への関心など。
    • 教育水準・文化: 消費者の知識レベルや情報収集の方法、地域固有の文化や習慣。
    • 倫理観・社会規範: 企業のCSR(企業の社会的責任)への意識、エシカル消費など。
  • 顧客獲得プロセスへの関連:
    • 人口構成の変化やジェネレーション毎のニーズに合わせて、ターゲット顧客層やアプローチ方法を見直す必要があります。
    • 消費者のライフスタイルや価値観の変化を捉えることで、新たなニーズを発掘し、製品やサービスの開発、マーケティングメッセージを最適化できます。
    • 社会トレンドに乗じたプロモーションは、顧客の注目を集めやすいです。

4. T:Technology(技術的要因)

新技術の出現、技術革新、インフラの整備などが顧客獲得に与える影響を分析します。

  • 分析する情報例:
    • AIの社会参入:AIの社会参入速度は加速度的に発展しあらゆる分野への影響を捉えている。
    • デジタル技術の進化: AI、IoT、VR/AR、5Gなどの新技術が、顧客の購買体験や情報収集方法に与える影響。
    • ITインフラの整備: スマートフォン普及率、インターネット回線速度、決済システムの普及などが、オンラインでの顧客獲得に与える影響。
    • 技術の普及率: 特定のデバイスやプラットフォームの普及状況が、顧客へのリーチ方法に与える影響。
    • R&D(研究開発)投資: 競合他社や業界全体の技術開発動向。
    • 生産技術の進化: 新しい生産技術が、製品のコストや品質、提供スピードに与える影響。
  • 顧客獲得プロセスへの関連:
    • 新しい技術を活用することで、顧客との接点を増やしたり、パーソナライズされた商品の開発や体験を提供したりすることが可能になります。
    • オンライン広告、SNSマーケティング、Eコマースなど、デジタルを活用した顧客獲得チャネルの重要性が高まります。
    • 競合他社の技術動向を把握することで、自社の優位性を確立したり、新たな差別化要因を見つけたりできます。

顧客獲得プロセス構築のためのPEST分析の進め方

顧客獲得プロセス構築の文脈でPEST分析を行う際は、以下の点を意識すると良いでしょう。

  1. 目的の明確化: どのような顧客を、どのように獲得したいのかを明確にします。
  2. 情報収集: 各要因に関する信頼性の高い情報を収集します(政府機関のデータ、調査会社のレポート、ニュース、業界紙など)。
  3. 分析と評価: 収集した情報が、自社の顧客獲得プロセスにとって「機会(Opportunity)」となるか「脅威(Threat)」となるかを評価します。
    • ※PEST各セクションごとに「機会」となるか「脅威」の仕分けをおこないSWOT分析で活用します。
  4. 戦略への落とし込み: 分析結果に基づいて、顧客獲得戦略や具体的なアクションプランを策定します。例えば、新たなターゲット層の開拓、プロモーションチャネルの変更、商品・サービス内容の改善などです。

PEST分析は、自社がコントロールできない外部環境の変化を客観的に把握し、それらの変化が顧客獲得に与える影響を予測することで、より効果的な顧客獲得戦略を立てるための重要な基盤となります。

ファロ・コンサルティングではフレームワークを活用して早く確実に進める『顧客獲得プロセス構築』コンサルティングを提供しています。

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