顧客インタビューで見える化する「カスタマージャーニー」と「自社の本当の強み」発見法
なぜ多くの企業は「自社の強み」を間違えるのか?
「うちの強みは高品質です」「納期の速さが売りです」──こう説明する経営者は多いのですが、実際にお客様に選ばれている理由は全く別だった、というケースが驚くほど多く存在します。
さらに深刻なのは、お客様がどのような経路で自社を知り、何に悩み、どう比較検討して購入に至るのかという「カスタマージャーニー(顧客の旅)」を、経営者がほとんど把握できていないことです。
この2つの「見えない部分」を可視化できれば、マーケティング施策の精度は劇的に向上します。今回は、顧客インタビューから「カスタマージャーニー」と「お客様が本当に評価している自社の価値」を抽出する具体的な方法をご紹介します。
カスタマージャーニーを把握する3つのメリット
メリット1:無駄な施策を70%削減できる
お客様が実際に通る道筋が分かれば、「誰も見ていないチラシ」「誰も読んでいないブログ記事」に予算を使う無駄がなくなります。ある製造業では、カスタマージャーニーを把握した結果、効果のない展示会出展を中止し、年間240万円の経費を削減。その予算を効果的なWeb施策に振り向けることで、問い合わせ数が2.3倍になりました。
メリット2:「買わない理由」を事前に潰せる
お客様が購入前に必ず通る「迷いのポイント」が分かれば、そこで先回りして不安を解消できます。成約率が30%から55%に向上した企業も珍しくありません。
メリット3:営業担当者の属人化を解消できる
「できる営業マン」は無意識にカスタマージャーニーを理解していますが、それを言語化できていません。カスタマージャーニーを可視化することで、全社員が同じレベルの対応ができるようになります。
顧客インタビューからカスタマージャーニーを作る4ステップ
ステップ1:購買プロセスを「5つのフェーズ」で聞き出す
インタビューで、お客様の行動を時系列で丁寧に聞き出します。以下の5つのフェーズに沿って質問すると整理しやすくなります。
フェーズ①認知:どこで知りましたか?
- 「最初に当社のことをどこで知りましたか?」
- 「その時、何を探していましたか?」
フェーズ②興味・関心:なぜ気になりましたか?
- 「当社のどんな点に興味を持ちましたか?」
- 「その時、他にどんな会社を見ていましたか?」
フェーズ③比較検討:何を比べましたか?
- 「他社と比較する際、どんな情報を集めましたか?」
- 「比較検討にどのくらいの期間をかけましたか?」
フェーズ④購入決定:決め手は何でしたか?
- 「最終的に当社を選んだ理由は何ですか?」
- 「決断する直前まで迷っていたことはありますか?」
フェーズ⑤購入後:期待通りでしたか?
- 「実際に使ってみて、購入前のイメージと違った点はありますか?」
- 「もっとこうだったら良かった、という点はありますか?」
10人に同じ質問をすると、共通するパターンが見えてきます。これが「あなたの会社のカスタマージャーニー」です。
ステップ2:「感情の変化」を書き込む
カスタマージャーニーの本質は、お客様の「感情の動き」にあります。各フェーズで、お客様がどんな感情を抱いていたかを記録します。
記録すべき感情の例:
- 認知段階:「困っていた」「焦っていた」
- 興味段階:「期待した」「半信半疑だった」
- 検討段階:「不安だった」「迷っていた」
- 決定段階:「安心した」「確信を持った」
特に重要なのは「マイナスの感情」です。不安や迷いを感じたポイントこそ、競合に負けるリスクが高い場所だからです。
ステップ3:各フェーズでの「接点」を洗い出す
お客様が各フェーズで接触した「情報源・媒体・人」を具体的にリストアップします。
接点の例:
- Webサイト、SNS、ブログ記事
- 展示会、セミナー、紹介
- カタログ、パンフレット、見積書
- 営業担当者、カスタマーサポート
この作業で、「お客様が実際に見ているもの」と「会社が力を入れているもの」のギャップが明らかになります。多くの企業が、お客様が全く見ていない資料に時間をかけていることに驚きます。
ステップ4:「離脱ポイント」を特定する
成約に至ったお客様だけでなく、途中で検討をやめた見込み客にもインタビューできれば理想的です。どこで離脱したのか、その理由は何かを聞くことで、カスタマージャーニーの「穴」が見えてきます。
離脱理由の多くは、以下の3つに集約されます:
- 情報不足(必要な情報がWebサイトに載っていない)
- 不安解消できず(実績や事例が見つからない)
- レスポンス遅延(問い合わせへの返信が遅い)
自社の「本当の提供価値」を発見する3つの質問
カスタマージャーニーが見えたら、次は「お客様が本当に評価している価値」を抽出します。
質問1:「他社ではなく当社を選んだ決め手は?」
この質問への回答が、あなたの会社の真の差別化ポイントです。経営者が思っている強みと、お客様が評価している強みは、驚くほど違います。
実例:
- 経営者:「うちは技術力が高い」
- 顧客:「担当者のレスポンスが速くて安心できた」
この場合、真の強みは「技術力」ではなく「対応の速さ・安心感」です。この価値をWebサイトや営業トークで前面に出すことで、成約率は大きく改善します。
質問2:「当社のサービスで最も価値を感じたのは?」
複数のサービスや機能がある場合、お客様が最も高く評価している部分を特定します。ここに経営資源を集中投下することで、費用対効果が最大化します。
質問3:「もし友人に紹介するなら、どう説明しますか?」
お客様が自分の言葉で説明する内容こそ、最も響くメッセージです。これをそのまま広告やWebサイトのキャッチコピーに使うと、驚くほど反応率が上がります。
専門用語や技術用語ではなく、お客様の日常言葉で価値を伝えることが、成約率向上の鍵です。
【実例】カスタマージャーニーで売上が倍増したBtoB企業
ある部品製造業は、顧客インタビューで以下の事実を発見しました:
- お客様は「Google検索」で最初に認知(展示会ではない)
- 決め手は「小ロット対応」と「見積もりの速さ」(技術力ではない)
- 不安点は「本当に納期を守れるか」(品質ではない)
この発見をもとに、以下の施策を実行:
- Web広告を「小ロット対応」に特化
- 「24時間以内見積もり回答」を明記
- 納期遵守率のデータを公開
結果、問い合わせ数が3.2倍、成約率が42%→68%に向上し、売上は2年で2倍になりました。
まとめ:お客様の目線で経営を見直す
カスタマージャーニーと提供価値の発見は、「会社目線」から「お客様目線」への転換を意味します。この転換ができた企業だけが、競合との差別化に成功し、持続的な成長を実現しています。
しかし、日々の業務に追われる経営者が、これらの分析を客観的に行うのは容易ではありません。
ファロコンサルティングでは、中小企業の現場を知り尽くした元経営者のコンサルタントが、顧客インタビューの実施から、カスタマージャーニーの可視化、提供価値の言語化、そして具体的なマーケティング施策への落とし込みまで、伴走型で支援しています。
**「お客様が本当に求めているものを知りたい」「自社の強みを正しく打ち出したい」**とお考えの経営者の方は、まずはお気軽にご相談ください。お客様目線での経営改善を、一緒に実現しましょう。
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