【卸売系の中小企業】の売上が変わる|バイヤーに「思い出される」メーカーになる方法

「良い商品なのに、なぜ発注が来ないのか?」

製品卸し・BtoB事業を営む中小企業の経営者から、こんな声をよく聞きます。

「展示会では好評なのに、その後発注につながらない」 「大手メーカーには営業力で勝てない」 「既存取引先から、いつの間にか競合に切り替えられている」

実は、この問題の本質は「発注の瞬間に思い出されているか」にあります。BtoBの購買担当者も、発注リストを作る時に無意識に「いつものメーカー」を選んでいるのです。この「思い出される率」を専門用語で想起率(メンタル・アベイラビリティ)と呼びますが、中小の卸売業こそ、この考え方で売上を大きく伸ばせます。

BtoB購買も「習慣」で決まっている

BtoCと同様に、BtoB取引でも購買の約70〜80%は習慣的な発注です。

バイヤーの頭の中で起きていること

発注が必要になった瞬間:

  • 「今月の在庫補充をしなきゃ」→ 頭に浮かんだいつものメーカーに発注
  • 「新商品の部品が必要だ」→ 真っ先に思い出した取引先に相談
  • 「急ぎで納品してほしい」→ すぐに連絡先が思い浮かぶ会社に電話

競合と比較検討されるケース:

  • コストダウン指示が出た時
  • 品質問題が発生した時
  • 新規プロジェクトで稟議が必要な時

つまり、日常的な発注の大半は、わざわざ比較検討せず「思い出したメーカー」に出されるのです。ここに想起率を上げる重要性があります。

実例:年商5億円の部品メーカーが取引先を2倍にした方法

ある精密部品の卸売メーカー(従業員15名)は、こんな施策で新規取引先を24ヶ月で2倍に増やしました。

実施した施策

1. 「困った時の想起」を獲得する情報発信

  • 技術資料を月2回、既存・見込み顧客にメール配信
  • 内容:「こんな時はこの部品」「納期トラブル回避のチェックリスト」
  • 商品売り込みではなく、課題解決情報に特化

2. 購買担当者の「発注リスト」に入る仕組み

  • 名刺交換後、必ず「製品一覧カード」を送付(デスクに貼れるサイズ)
  • 四半期ごとの電話フォロー(売り込みではなく「困りごとヒアリング」)
  • 既存取引先には年2回の訪問で「他に使えそうな部門はないか」を確認

3. 「この分野ならこの会社」の記憶を作る

  • 特定の製品カテゴリーに絞って専門性を訴求
  • 業界紙への寄稿(月1回×12ヶ月)
  • 展示会では「○○専門メーカー」と大きく掲示

投資と成果

投資額: 月間約8万円(情報発信・郵送費・業界紙広告) 成果:

  • 新規取引先:年間6社 → 24社(2年間)
  • 既存取引先の発注頻度:平均1.4倍
  • 紹介経由の引き合い:前年比3倍

最大の変化は、「見積もり依頼が来る段階で、ほぼ受注が決まっている」状態になったことです。比較検討ではなく、「あの会社に頼もう」と指名で依頼されるようになったのです。

BtoB卸売業が今日から実践できる「想起率を上げる」3つの方法

1. 「発注シーン」を具体的に設計する

BtoBでは、発注が発生する具体的なシーンを明確にすることが重要です。

効果的な発注シーンの例:

  • 「月末の在庫確認の時」→ あなたの会社を思い出す
  • 「急な納期変更が発生した時」→ 柔軟対応できる会社として想起
  • 「新製品の試作部品を探している時」→ 小ロット対応の会社として記憶される
  • 「品質トラブルで代替品が必要な時」→ 緊急対応できる会社が頭に浮かぶ

このシーンを特定したら、そのタイミングで確実に思い出されるよう、購買担当者との定期的な接点を設計します。

2. 「専門性の記憶」を作る

BtoBにおいて最も強力な想起トリガーは、「この分野ならあの会社」という専門性の記憶です。

効果的なアプローチ:

  • カテゴリーを絞る:「何でも屋」より「○○専門」の方が記憶に残る
  • 技術情報の提供:製品カタログではなく、課題解決のノウハウ資料
  • 業界での存在感:業界紙への寄稿、ウェビナー開催、事例発信
  • 言語化された強み:「小ロット対応」「短納期」など、具体的な特徴

重要なのは、**「他社にはない独自の立ち位置」**を明確にすることです。価格や品質だけでは差別化できません。

3. 購買担当者の日常に入り込む

想起率を上げるには、定期的な接触が不可欠です。ただし、しつこい営業ではなく、「役立つ情報提供」の形で接点を持ちます。

月5万円からできる接触プラン:

  • メールマガジン配信(月2=4回):技術情報、業界トレンド、在庫情報
  • 電話フォロー(四半期に1回):困りごとヒアリング、新製品案内
  • 製品一覧カードの郵送:デスクに貼れるサイズで連絡先を常に視界に
  • LinkedIn投稿(週1回):専門知識の発信で接触頻度を上げる
  • 年2回の訪問:既存取引先への御用聞き(他部門への横展開を狙う)

ポイントは、「売り込み」ではなく「役立つ存在」として記憶されることです。

想起率が上がると、BtoB取引はこう変わる

実際にこの戦略を実践した卸売業では、以下のような効果が報告されています:

見積依頼の受注率が60%→85%に向上(指名発注が増えるため) ✓ 価格交渉が減少(想起される企業は価格以外の価値で選ばれる) ✓ 既存取引先の発注品目が増加(他部門にも横展開しやすくなる) ✓ 紹介・口コミが増える(バイヤー同士の情報交換で名前が出る) ✓ 営業効率が向上(新規開拓より、想起されることで引き合いが来る)

最大のメリットは、競合との相見積もり競争から脱却できることです。「他も見てみよう」ではなく、「あの会社に頼もう」と最初から決めてもらえるようになります。

測定可能な指標で効果を見える化する

想起率向上の取り組みは、以下の指標で効果測定できます:

  • 指名率:「見積依頼のうち、相見積もりではなく指名だった割合」
  • 想起調査:既存取引先に「どんな時に当社を思い出すか」をヒアリング
  • 紹介経由の引き合い数:バイヤー同士の会話で名前が出ている証拠
  • メール開封率:情報発信への関心度(想起の前段階)

これらを四半期ごとに追跡することで、施策の効果が数字で見えてきます。

まとめ:BtoB卸売業の強みは「バイヤーの記憶に残る」こと

大手メーカーのような全国規模の営業網は必要ありません。あなたの取引先・見込み顧客の中で、発注シーンで確実に思い出される存在になれば、それだけで売上は大きく変わります。

想起率を上げる戦略は、特別な営業力や巨額の予算がなくても実践できます。必要なのは、「どんな時に思い出されたいか」を明確にし、その記憶を地道に積み重ねる継続力です。


「バイヤーに思い出される」メーカーになるための具体的な戦略について、もっと詳しく知りたい方は、ぜひファロコンサルティングにご相談ください。

BtoB卸売業の特性に合わせた「想起戦略」の設計から、実行支援までサポートいたします。

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